東京高等裁判所 昭和28年(う)275号 判決
被告人高沢皐月、同毛利正男の弁護人Aの控訴の趣意第一点について。
所論は原判決は、原判示第三事実と第六事実及び第五事実と第十事実において被告人高沢、同毛利が公文書を偽造したことに関し収賄した事実につき、刑法第百九十七条の三第二項を適用し加重収賄罪として処断するとともに右公文書の偽造の点についてもこれを別個の犯罪として処罰しているのであるが、刑法第百九十七条の三第二項は、不正行為をしたことに関し収賄した場合にその収賄者を重く罰しようとする加重的規定であるから苟くもこれにより加重して処罰される以上、更に右不正行為につき処罰することは、同一事実につき重ねて刑罰を科することとなり、憲法第三十九条に違反するというのである。しかしながら、刑法第百九十七条の三各項の加重収賄罪の規定が、これに対応する不正行為についての刑事責任を免責するものと解すべきでないことは、論をまたないところであるから、所論は採用することができない。なお、右不正行為と収賄との間には一所為数法又は手段、結果の関係も存しないから、これに対し刑法第五十四条を適用すべきでないことも勿論である。論旨は理由がない。